絵旬記(かなり面倒くさい)

絵日記は向いてないと気付いたのは小1の夏の終わり。旬(1/3月)記なら続くだろう。好きなモノの話を軸に。

具はもちろん、ソースまで根こそぎすくい取れるサーバを作ろう《設計編》

美味しいソースは具の下に隠れている

我が家は大皿料理が多い。

デッカイ皿にどんと盛り付けて、家族みんながそれぞれ取り分けて食べます。

海老は全部で何尾あるのか? コイツ今、海老取った?

牽制し合いつつ、遠慮した振りしつつ、譲り合って食べる。

で、この取り分けるスプーン?サーバ? 今はティ○ァールのデカイスプーンを

使っているのだけど、なんか今イチなんです。

ソースが液体状の料理(例:片栗粉が足りなかったパリパリ皿うどん)とか

トマトソース系のペンネペンネばかり取れる)の時、特に。

具や麺だけ取れて、最後にソースが皿に残る。ソースが旨いのに。

具や麺とソースとをバランス良く取り分けたい。

 

そんなに文句があるなら、自分で作れ!

はい了解です。と云うわけで作ることにします。

では、まずコンセプトを固めて行きましょう。

すくい取る道具に答えがあるかもしれません。モチーフになりそうな道具を考えて

いきます。

 

 

モチーフ1:チリ取り

巨大なスプーンが何故使いづらいか?と云いますと、あの丸さです。

スプーンの縁のカーブがきつく、皿との接地面が大変狭うございます。

つまり皿と設置している狭い点でしか、ソースはすくえてないわけです。何と勿体ない。

 

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では、ちり取りを見てみましょう

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           ↑ちり取り(出典:無印良品

 

見事な設置面積です。設置率は限りなく100%に近いのではないでしょうか。

しかし今回は平らな床では無く、わずかに湾曲した皿が相手ですので、さらなる工夫が

必要です。(しかも1次ではなく、2次曲面である!)

暫定的にでは有りますが、目標設置率を80%といたしましょう。

 

 

モチーフ2:底曳き網

宝石サンゴが沢山取れることで近年再注目されている漁法ですね。

 

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                    ↑底曳き網漁(出典:新潟 漁師への道)

 

これまた見事な設置率です。しかもこちらは金属では無く、ナイロン製の網ですから

複雑な海底の地形への追従性も兼ね備えています。実に見事です。

 

ここで、2点のモチーフを見比べますと、大きな差異の存在に思い当たりました。

ちり取りは押して使うタイプ。一方、底曳き網漁は引くタイプです。

180°真逆ですが、その効果は2点とも秀逸です。

 

もしかすると、0°と180°の中間点、90°辺りに我々の探し求めている答えが潜んでいる

のかもしれませんね。

何となく形のイメージが湧いてきました。

 

 

モチーフ3:トマホーク

物騒な飛行物体を打ち落とさない方のトマホークです。

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               ↑トマホーク(出典:世界宗教用語 weblio 辞典)

 

美しい形です。グリップ部分のカーブが特にいいですね。

このカーブがこの道具が、直線的に運動させて使うモノではなく、円運動で使う

道具であることを物語っています。円運動が生じる遠心力を利用して効率を上げる

のでしょう。機能性を見事に形にした好例と言えます。

米国先住民の知恵がここに結集されています。

 

もう一つ着目すべき点は、写真下部の文字です。全長:29cmとあります。

思った通りです。私も30cm前後が一番使いやすい長さなのでは?と予想していました。

 

設置率80%を確保した上で、押す でも 引く でもない円運動の利点を

最大限に活かした形で、全長30cm前後。これが、がどうやら求める答えのようです。

そして、使いやすい道具は、きっと美しい形になるはずです。

 

かなりイメージ固まって来ました。では次に、イメージを図面化します。

 

 

設計

私の本業は設計です、やはり職業柄、緻密な設計になってしまいますね。

 

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                            緻密な設計図の全容↑

 

今回もかなりの難産でしたが、納得いくデザインが生み出せました。

トマホークカーブが手が皿の縁に当たるのを防いでくれるはずです。

 

材料は、工事中の住宅の現場からカッパらって分けて頂いた木材です。

ホワイトアッシュと云う材種で、堅く、木目がキレイな材です。

元々は、アルミサッシュの額縁に使った切れ端です。

厚さ:2cm 幅:10cm 長さ:十分

 

 

墨出し

では、材料のホワイトアッシュに、緻密な設計を慎重に反映させます。

 

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                   資源を有効利用。2セット分取れました。 ↑

 

小口面にもぬかりなく すくう面の断面が描かれているのがお判りでしょうか?

この窪み部分は、彫刻刀でシコシコ彫ります。

 

製作の段取り

  1. 糸ノコでマジックの線よりやや大きめに切り取る。
  2. 窪み部分を彫刻刀で彫る、彫る。ひたすら彫る。
  3. ナイフで削って、全体に丸みを付け、形を整える。
  4. 途中で、色んな皿で実際にすくって見て、設置率80%を目指す。
  5. 紙ヤスリで仕上げる。
  6. オイル拭き仕上げ(多分ピュアオリーブオイル)
  7. 完成

 

では、今日はここまで

 

今日の結論:結局、トマホークのグリップに小さなチリ取りを取って付けたような形

今日の行方不明:底曳き網は何処に行った?

 

今日の予感:続編は来年中には上げれるでしょう。